ダック商品にロウケツ吹雪「Y社M58」その2


これが染め上がりです。
吹雪といわれる斑点状の模様の色は元の地色です。
蝋を置いたので、染まらずに残っています。
濃い地色は新たに上から染めたものです。
  
誤解が多いのがここで、
A)地色はそのままで吹雪を乗せる
B)吹雪を入れて地色を染める
これは地色と吹雪の色の関係が全く逆になるのです。
単に「この色で吹雪を入れよ」という加工指示ではどちらかわかりません。
  
・なるべくイメージを変えずにシミやスレなどの難を隠したい
 というのであれば「A」です。地色そのままで吹雪だけ乗せます
  
・地色が気に入らないのでイメージを変えたい
 というのであれば「B」です。
  
「地色が派手なので、吹雪を乗せて地味にしたい」
という依頼がたまにあります。つまり「A」の方を希望されてるわけです。
地色を染めないと、派手地味の変化はほとんどありません。
そういってアドバイスをするのですが、
「せいぜい詰めてくれ」とか「せいぜい濃い色でやってくれ」とか言われます。
あまり美しくあがりません。
  
改めてロウケツ吹雪を見てください。

吹雪の周囲は適度にボケていて、むっくりと上品にあがっています。
3種ある吹雪加工の中では最も高級感のある加工法です。
  
長所
・高級感がある
引染で染色するので、ぼかすこともできる(本件の裾色は染めずにぼかして逃げてます)
  
短所
・加工代がやや高い(特に柄を伏せる(=養生する)必要のある場合)
・元の地色が吹雪色として残るのと、染色が引染であるため、元色の濃いめぐらいしか選択肢がない。
  
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