樹脂吹雪「K社22-9」

前回のロウケツ吹雪に続いて今回は樹脂の吹雪です。
「乗せの」吹雪といってロウケツと区別することもありますが、
捺染あるいは染型を使った吹雪と混同することがあり、
やはり「樹脂の」という表現が適当だと思います。
  
前回でいう
A)地色はそのままで吹雪を乗せる
の方の仕事です。
  
目引き(地色も柄も関係なく、一様に色をかけてしまうこと)の結果染めムラが出ました。
それを吹雪で隠してほしいという依頼です。
  
染めムラが地色の共濃い(同系色の濃い色)に出てますので、
同様に共濃いの吹雪をいれます。
染めムラなり、シミなり、隠したいものと同じ色でないと隠れません。
  

加工前
  

加工後
  

アップ
  
このように柄を巻く(柄にかからないようよけてぼかす)ことができます。
エアブラシのようなもので作業しますので、、吹雪が思わぬ方向に飛ぶことがあり
柄にかからないようにするためには、タオルで覆ったりということが必要です。
込み入った柄だとそれがかえって大変な手間で、
むしろエンブタ(マスキング)をした方が、楽できれいです。
エンブタのほうが手間賃が高くつくだろうという思惑で、
ぼかしてくれ、という指示を出される方がいらっしゃいますが、
柄によっては、それがかえってやりづらいことがあります。
  
ご覧のように、地色の印象はあまり変わりません。
ですから、派手にしたい、或いは地味にしたいという目的で、樹脂の吹雪を使うのはお勧めできません。
  
今回は染めムラの処置でしたが、他にも、
・絵羽筋のごまかし
・スレ(摩擦によって生地が毛羽立ち白く見えること)のごまかし
などに有効です。
  
前回に倣って、長所短所をまとめてみます。
  
長所
・染料より地色の影響を受けにくいので、色の選択肢が広い
・ぼかすことも、柄を養生することも比較的容易。
・裾だけ、袂だけなら、仕立てたままでも加工できる。
  
短所
・高級感に欠ける
・粒を大きくするとにじんで汚くなるので、細かく入れるより仕方なく、模様として弱い。