匂い袋による変色「E社」

久しぶりに興味深い事例に出会いました。
  


畳んだときに重なり合う部分を貫通するように変色しています。
畳紙も変色してしまっています。
また、着物を広げたときに独特の芳香臭がしました。
匂い袋による変色と見て間違いないでしょう。
ただし、その成分は複雑で、変色のメカニズムはいまだに解明されていません。
  
得意先さんは、「吹雪を入れてはどうかと消費者に提案してきた」と言います。
柄部分は吹雪が入っているので、それを模して、
変色部分を柄として見られるようにしてしまおうという作戦らしいです。
一箇所ぐらいならそれもアリかもわかりませんが、
こうお行儀に並んでいると、いくら柄を模しても無理があります。
  
もやぼかしをお勧めしました。
襦袢によくあるような、二色〜三色でもやもやと雲模様のように染めるやり方です。
変色部分をもやの一部として紛らしてしまおうという作戦です。
  
吹雪とは、上がりも値段もずいぶん違ってきますから、
照会の後返事ということで、現在保留扱いです。
あまり面白がっては消費者の方に気の毒ですが、
ここまでハッキリと症状の出た例は貴重です。